境界性パーソナリティ障害
「見捨てられ不安」という心理です。
一般的に、恋愛感情が強くなると、その人に執着する傾向が出てきます。境界性パーソナリティ障害の人では、特に、この執着が強くなります。すると、連日、メールをする、ラインをする、相手の返事がないと、さらにあせって、どんどんメールする、という悪循環になります。このような執着の背景にあるのが「見捨てられ不安」という心理です。また、相手と自分との境界が不明瞭になるので、相手を自分が所有しているかのように干渉します。こうなると、相手はどんどん逃げていきます。追いかけられすぎると逃げたくなるのが人情の機微です。ほんとうに失いたくない相手であればあるほど、この「執着」をできるだけ捨てて、過度な連絡や干渉をしないほうがいいのです。そうすれば、相手のほうから、追いかけてくる可能性も出てきます。恋愛依存症になりがちなタイプの人は、こうした「執着」のコントロールがむずかしい傾向があります。「執着」を離れて、過度に異性に依存しないためには、恋愛とは別に、打ち込むべきものを持つのも一つです。仕事や家事やライフワーク、友人関係などほかのものに意識をむけると、「執着」から離れやすくなります。根本的には「見捨てられ不安」や「自己重要感の欠如」を癒す必要があるのです。
恋愛依存の傾向があると、相思相愛となり、交際するうちに、あまりにも相手に依存し、甘えすぎてしまうことがあります。そうなったとき、もし、なんでもかんでも過去をみずから暴露し、相手に心理的な負担をかけていると、その関係は危うくなります。また、相手が「言いたくないこと」を問い詰めて、白状させるというのもよろしくありません。恋人同士でも夫婦でも、「親しき仲にも礼儀あり」というのが、本来のあり方です。特に、結婚して夫婦となれば、いっそうの配慮が必要となります。夫婦のあいだには一定の礼節があるべきで、夫婦だからと、なんでもかんでも吐露したり、ぶちまけたり、要望をすべて出してしまうと、関係が良好でなくなる場合もあります。特にお互いの過去の異性関係やそれに関連した問題については、別して、とりあつかいにご注意ください。マナーとして、過去の異性関係やそれに関することはよほどの場合でもない限り「忘れた」ことにしておくべきです。質問されても「忘れた」というのです。また、相手の過去の経歴、経験についても異性問題やそれに関連するようなことで、あれこれ、問いただしたり、攻めたり、追求したりはしないことです。
恋人あるいは夫婦とは、今、目の前にいる相手を愛するのであり、過去のことを愛するのではありません。誰でも、ひとつやふたつ、言いたくない過去があります。それをあえて、ほじくりかえさないのが、大人としてのマナーということなのです。忘れたふりをして、何事もなかったかのように接していけばそれですべて好転します。夫婦といえども、相手と自分の境界線を引き間違えてはなりません。夫婦とは、他人同士が仲良く暮らすことです。他人同士が仲良く暮らすには、それ相応の気配りが不可欠なのです。依存しすぎ、甘えすぎ、胸のうちを暴露しすぎ、こういう境界線をめちゃめちゃにする行為は、相手を疲れさせてしまい、関係を悪化させてしまうのです。相手への過度の期待や要求をくりかえせば、相手は負担に感じて気持ちが引いていくのです。今、目の前にいる伴侶をあなたが愛して、関係を良好に育てていくという見方が大切です。意図的にそのように見ていく心がけを持たないと、すぐに甘えが出て、依存し、過度の要求、期待をして、それがかなわないと不平不満をいうようになり、せっかく得た信頼関係も壊してしまうのです。結婚前の過去のことはお互いに見ざる、聞かざる、言わざる、で良いのです。もし、何かの拍子に、ぽろりと出た場合も、見なかったこと、聞かなかったこと、言わなかったことにして、さらりとやり過ごすほうがいいのです。これは、良好で長続きする夫婦に必須の心がけです。「親しき仲にも礼儀あり」です。毎日「ありがとう」といってください。これも「礼儀」です。