人格障害(パーソナリティ障害)は、世間の用語でいうならば、性格の歪みとか
偏りなどと呼ばれてきたものに相当すると思われているようです。
しかし、近年、これが治療が必要な疾患概念として認識されるようになってきました。
人格障害は心の病気であり、「精神障害」の中に含まれていますが、「精神病」ではありません。
しばしば事件などで取り上げられるものに「反社会性人格障害」と
呼ばれるものがあります。
これは人格障害の一つではありますが、普通、治療の対象に
なることはほとんどなく、犯罪予防の観点から、法律、警察の扱うものです。
これ以外の人格障害は精神科医の治療対象となります。
10種類の分類のうち最も多いのは「境界性人格障害」です。
「境界性人格障害」には、「見捨てられ不安」
「不安定で激しい対人関係」「同一性障害」「衝動性」「空虚感」といった特徴があります。
(情緒不安定性パーソナリティ障害とも呼ばれます)
不安定で激しい対人関係においては、親しい人物との共生関係と呼ばれる依存があります。
母親や配偶者、恋人などがその対象になる場合が多く、
時に通院先の主治医がその対象となる場合もあります。
衝動性というのは、些細なきっかけで、リストカット、過剰な飲酒、過食、
不特定多数との性的関係、薬物依存などの行動に走ります。
また見捨てられないように「自殺する」と脅かして相手をコントロールしようとします。
多くの場合、共生関係を持とうとする相手をコントロールすることに
執念を燃やし、相手はとことん振り回されることになります。
回避性人格障害は、いわゆる「引きこもり」に含まれるものです。
この他、自己愛性人格障害、演技性人格障害、強迫性人格障害、
依存性人格障害は、薬物治療と心理療法が併用されることが多いです。
妄想性人格障害、分裂病質人格障害、分裂病型人格障害の三つは、
統合失調症に準じた薬物治療が行われることが多いです。
パーソナリティ障害