抗精神薬が幻覚や妄想を抑える
抗精神薬によって幻覚や妄想を抑えることが統合失調症の治療の中心になりますが、
これらの薬物は、様々な神経伝達物質の受容体を遮断することで効果を発揮します。
統合失調症発症に関与すると考えられているドーパミンは
中脳辺縁系、中脳皮質、黒質線条体系、漏斗下垂体系の4つをルートとしています。
そのため、薬物療法で受容体が100%阻害する結果、副作用が必ず起こるのです。
副作用がでるため六割程度しか服薬を継続できる患者はいません。
抗精神薬を服用する副作用として、身体合併症が出ます。
錐体外路症状のほか、薬剤パーキソニズム、アカシジア、ジスキネジア、ジストニアといった錐体外路症状が出ます。
こうした薬の副作用の問題を考えれば、必要最小限に薬を抑えることを心がけ、
患者を薬漬けにしてしまわない注意が必要だとわかります。
そして、効果はすぐにはでないかもしれませんが、心理療法を治療に取り入れることで、
薬の使用量を少なくしていくことも大切になるでしょう。
うつ病や双極性障害のような気分障害と違って、心理療法だけで改善することは難しいケースも多く、
服薬の中断は悪化を招くこともありますので、薬を最小限にしてくれる信頼のおける医師を頼り、
少しずつ薬を減らし、思考の訓練をさせていくことが患者を救う道といえるでしょう。
統合失調症は、幻視や妄想という症状患者の人生を大きく苦しめ歪めてしまう病気です。
統計的には100人に1人弱が統合失調症にかかるとされていますが、
その中には、別の疾患を統合失調症と誤診されているケースも一部含まれている可能性があります。
科学的にそして正確にいえば、統合失調症の発症原因は不明です。
統合失調症は、まだよくわかっていない病気なのです。わかっていることは、
人生における種々のストレスが統合失調症の誘因になっているということ。
進学、就職、結婚などの人生のストレスがきっかけになります。
幻覚と妄想は人と健全に交流し家庭や社会生活を安定的に営むことを不可能にします。
患者自身も、自分の感覚、思考、行動が統合失調症のために歪められている自覚を持てない病気です。
それゆえに通院になかなかつながらないケースも多いです。
統合失調症の初発患者のほぼ半数は、完全で長期的な回復ができるということをぜひ知っておいてください。