医学的な統計をみるときには。調査の比較対象や、調査の規模などをよくみて、判断する必要があります。タバコが人体に癌を発生させたり、心筋梗塞や肺気腫をおこすことは、世界中で統計学的な大規模調査が行われて判明したことであり、アメリカでは、政府とタバコ会社との訴訟合戦の結果、タバコ会社が敗北して、タバコの有害性を認めたという事実もあります。福島県で59人の児童に、甲状腺癌や甲状腺癌の疑いが見つかったという報道がありましたが、これについても、被爆が原因だと結論づけるのは早計です。なぜなら、日本国内のほかの県で、同様に調べた結果、ほかの県と比べて、明らかに福島県や関東が多ければ、そのとき初めて、被爆の影響を考えることができるからです。
今回の調査は、福島県に限ったことなので、東日本大震災と原発事故があったからと、急に検査をしはじめて、見つかりだしたというだけのことかもしれません。自然な発生率との差異を証明できない限りは、被爆に結び付けられないのです。一方、タバコが癌をひきおこし、血管を硬化させて高血圧を招くことは世界中の大規模な研究で疑う余地がありません。放射線を恐れるよりもまっさきにタバコをやめて、受動喫煙の被害を減らすことが重要です。
タバコを吸っていると、流産しやすくなります。このため、なかなか妊娠しないということになるのです。タバコの成分であるニコチンは、全身の血流を阻害します。子宮や卵巣においてもこの悪影響が出ます。そのため、せっかく受精したのに、早期流産となり、胎児が生育しないのです。18パーセントの女性が妊娠判明時に妊娠していたことがわかっています。
もし、無事に育っても、未熟児で生まれる可能性が高くなります。低出生体重児ともいいますが、なぜ、未熟児になるのかというと、タバコのニコチンの血流阻害作用のためです。妊娠中の母親の喫煙行為がいかに胎児を傷つけているか。これは小学校教育の段階からもっと徹底して子供に教えるべきです。また中学校でも、今以上に繰り返し生徒に指導される必要があります。
子宮に十分な血液が流れないため、胎児は栄養不足に陥ります。そして生育が阻害されて、未熟児となるのです。未熟になるのは体の大きさだけではないのです。学習低能児が生まれる可能性が高いです。欧米での研究で、学習低能児の母親の多くは、妊娠中に喫煙していたことがわかっています。脳の成長にも大きな悪影響があるのです。このような危険な喫煙をいますぐに止めましょう。禁煙こそ、不妊治療の第一歩といえるのです。
本人はタバコを吸わないのに、周囲の人間の喫煙によって結果的にはタバコを吸ったのと同じことになってしまう。それが「受動喫煙」です。タバコの副流煙による害です。アメリカの調査では、いつもタバコの煙が立ちこめている職場で二十年以上働いていた人は、明らかに末梢気道の機能低下が認められ、その程度は、1日にタバコを10本吸っている人と同じでした。
日本でも、平山博士の調査によれば、妻はタバコを吸わなくても、夫がタバコを1日に20本以上吸っていると、肺癌による妻の死亡は二倍以上になることがわかっています。副流煙を吸い込む機会が多いため、被害を受けているのです。イギリスの調査では、ロンドン市内に住んでいる非喫煙者(病院勤務者)全員に、程度の差こそあれ、尿からニコチンが検出されています。職場や公共機関で副流煙を吸い込んでいるということです。
人口が密集している所はその地域にいるだけで自動的に喫煙者にされてしまうのです。このようにタバコによって汚染された空気は、当然のことながら周囲の人に深刻な影響を与えます。タバコはデメリットしかありません。喫煙者の口臭のひどさは、耐えられないものです。喫煙者の喫煙行為により副流煙が発生し、これを吸うことで喫煙習慣がない人にまで悪影響があるということです。