自己愛が肥大して暴走する自己愛性パーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害はまわりにいる人を苦しめる形で社会に問題をもたらします。
自己愛性パーソナリティ障害は、他人の気持ちにまったく関心がなく、他者に愛情を持ちません。
その意味で無関心です。愛しているのは自分だけという自己中心な心をもっています。
幼児期にはそのような精神状態がありますが、そこから、成長せずに
未熟な自我がそのままになっている状態なのです。
共感性がないのですから、周囲の人はたえず振り回されます。
馬鹿にされることにいちばん腹が立つという特性があります。
ばかにされたと本人が思い込むと、とたんに激しく怒り、
恥の感情や屈辱感をもとにした言動をとるという特徴があります。
まわりからの声は、自分にとって心地良く感じるものしか耳に入りません。
おだてや賞賛は、喜んで受け取りますが、忠告や本音ははねつけて拒絶します。
そればかりか、批判や侮辱ととらえて過剰に反応するのです。
顔に泥を塗られた、体面が傷つけられた、面目を失ったというふうに、勝手に思い込んで、
敵愾心を燃やしたり、屈辱感を抱いてしまいます。
過剰な自己愛をもつ彼らにとっては、他人は常に比較の対象となります。
その比較とは、自分が相手を見下す関係でいられるか、あるいは見下される立場になるのか、
この二つに一つの見方しかできないのです。
自己愛性パーソナリティ障害の人が、横柄で、文句ばかりいうのは、他人を見下すことで、
自分が見下される立場になることを避けようと、必死だからです。
尊大なセルフイメージを守るための防衛策に必死だということです。
自分に対する誇大かつ現実離れしたイメージがあまりに強く修正できません。
人とのかかわりがすべて自己中心です。自分だけ特別扱いされることを当然だと考えています。
そして、他者への共感性に欠けるので、人がどう感じているか、まったく思いやることができません。
このような自己愛性パーソナリティ障害は中年にも多く、会社の上司などにもしばしばみられます。
未成熟なままの自己愛に縛られた状態、それが自己愛性パーソナリティ障害なのです。
境界性パーソナリティ障害と併存していることも多々あります。