前世療法からみた因果応報論
前世と今生との間には、因果応報の法則が成立していることが
多数の症例を検討することで理解されます。因果応報の法則とは、
物理学でいう作用・反作用の法則にも似た仕組みです。
前世で他人を苦しめ、困らせた人は、生まれ変わったら、
今度は自分が同じような苦しみと困難に見舞われるという法則です。
例えば、前世で、多くの人を苦しめて搾取した人物は、
生まれ変わると今度は自分が他人から搾取されて苦しむ立場になります。
前世で暴力や脅しをもって多くの人を苦しめた人物は、
生まれ変わると、今度は自分が暴力や脅しの犠牲者になる立場になります。
この法則は、なぜ生まれながらに幸運な環境の人がいたり、
不運な環境の人がいたりするのかという理由を説明することになります。
これは悪しき行為だけに当てはまるのではありません。
いわゆる善行にも当てはまります。前世で恵まれない人のために
多くの施しをして救った人は、生まれ変わると裕福な人生、豊かな人生を送ることになります。
人間のすべての行いに関して、この法則が作用しているので、いま、
自分が生きている環境や育ってきた運命は偶然の所産ではなく、
前世とのかかわりの中で、影響されてきた側面があると考えられるようになります。
ただし、運命は決定されているものではありません。
前世の影響を受けてはいるが、その都度その都度、いかなる選択を
していくかという私達の行為によってそれは修飾されて、変容していくものでもあります。
前世の実在を認めることは決して運命決定論ではありません。しかし、
現在の環境が偶然の産物ではなく、前世の影響を受けているものであると
知るという学びの中で、今度は、来世に対して、
今の己の生きざまが大きな影響を与えていることを認識するということでもあります。
また、生まれ変わりという長いスパンで考えなくても、生まれてから死ぬまでの
今の人生においても、因果応報の法則が働いていることを悟り、
只今の己の生き方をより良きものへと高めていくことにつながるのです。